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やさぐれ同盟

やさぐれ同盟

『歌罠』

断絶。につぐ断絶―――
環流の速度に、行為はその主語を忘れ
生命の残り香に、爆ぜる絶対零度
真実の空は、真実の暗黒を孕み
自らを自らの延長と成し
遠く・遠くへと 

この分子結合を囲い込む肉
 苦悩の煮えたぎる内部から
  他者に向かって手を伸ばす時
   だから愛を歌うべきはずの口から
    血を骨を内臓を吐き出して
     本来 帰るべき記憶に
      赤を! 赤のイメージを!
 
(あなたに宛てた手紙は、指示代名詞を慎重に削り、なるべく正確に物事を記述する訓練だったのです。あなたの、順接を逆接に置き換える自尊心に嫌気がさしたのです。あなたは、あなたが無力だということを知らない。知らない。知らない。知らない。)

              虚無を! 虚無を! わたしは無を! 無を渇望する!
                    声は肉の重さに垂れさがる
肉だ! 声は肉だ!
                        殺せ! すべての声を根絶せよ!
感情にびっしりと張りついた毛細血管
感情も文法法則の嬰児に過ぎない
返せ! お前の感情は宇宙の属性である!
虚無を! 虚無を! わたしは無を! 無を渇望する!

移動―――思考は衛星軌道で大脳生理学を追尾しながら
認知過程の反復を仮想する
もう一つの脳は宇宙で夢を見…見られている…………(?)
言葉に条件づけられた「我」は、その宇宙脳に翻訳された「汝」と出会う
 インプロヴィゼーション―――生命はそのように演奏され
 再現されない音を模索するのだ

      綺麗な水
   温かい雨
寂しい熱
         世界を言葉に還元した瞬間、、、、、、、、、盲目、、、、した
認識とは、つまるところ、表象のドミノ倒し(!)なのかもしれない
                      もしも言葉を超えることが出来るのなら____――――____――――日没の匂い
                 酸素の実感
                 溶解の過程
すべて ひとつに 「……( O )……」 すべて ひとつに

   生成し、遍在する、世界の全実在よ、黙秘せよ、壮絶な孤独を、沈潜を、激痛を、 
   衝動を、欲動を、黙秘せよ、許容せよ、その、意味を、形式を、差異を、乖離を、  
   無化せよ、現実を、イデアを、神話を、作用を、ロゴスよ、倫理よ、虚無よ、。。

「何ができる? 
歴史はもう暦を必要としないんだよ
兵器庫の奥に眠ったまま
現在は干からびてしまったんだ
欠落した器官のために笑えない子供たち
温かいものは もう何も残されてはいない
時間は止まってしまったんだ
このまま
過去と現在と未来が静止した
石の時代を“人”として生きるのかい?
世界は……………壊れた計算機なのに」

その時 声は結晶したのだ
はじめて 本当に伝えるべき意味を 汚さないために
   ――――、――――、―――――――――!
           ――――――――、―――――――、―――――!
しかし やがて すべての声は 歌と変わる
。。。。。。
。。。。
「歌罠を 歌罠を 歌罠を……(声は途切れ、続きは聴こえない)」


『夢渡り』

それは何の変哲もない風景 蝉の鳴くありふれた夏 干からびたアスファルト 薄暗い墓地の裏道 青春のテニスコート 狭苦しい花壇 本当に青い空 だが ふとぼくは 目眩を覚え 夢を病んだ瞬間に憑かれ 見る それは素晴らしい感覚だが それ以上にぼくを不安にさせる まるで ぼくは全身が感覚器官となったかのように 受容のための機能となって 世界を はじめて 意識する しかし 瞬間は過ぎ 去る そこに見たはずのものを ぼくは失ってしまったのだろうか いや ぼくは その 忘れてしまったものを 思い出すためだけに生きている 正しく美しいものを 求めて

死んで行くよ ああ死んでしまうね すべてのものは 悲しいことなら溢れるほど この世界には足りな過ぎる 言葉を もっと それとも消してしまおうか ああ消してしまうべきだと ぼくは思うよ 宇宙が一瞬で蒸発するのなら ダイスを転がせ だけど ピアノ あの窓から聴こえる たどたどしいピアノの調べ セロニアス・モンク せめて あの曲が終わるまで 世界よ 耳をそばだてて 終わらない 終わらない

―――それでは意味は? あなたが生きる、その理由は?
―――心臓が8ビートを刻むから、踊るだけだよ、ベイビー!


『パートタイム・パンク』

カラーテレビ時代の虐殺です
体育館で ダムで 工場で
死ぬことが分かっていながらトラックに乗り込む行列
それは九十年代の戦争です

正義を信じない人達の国で
ぼくは学校をさぼることしか考えていなかった
音楽を聴きながら詩を読んでいた
評論家は「歴史の終わり」とか言っていた

死体は匂うのでした
ことに最初は甘い香りを放つものです
埋めなくては 埋めなくては
汚いものは隠蔽しなければなりません

そうです世界は平和です
朝鮮半島は和解に向かっています
オリンピックは平和の祭典
これほど無邪気に翻る国旗を見るのは久しぶりです

極東の島国の仏教徒が
アウシュビッツの死者を弔ったといいます
そんな偽善が溢れる日々だから
慈善事業はいつまでも厚顔無恥のお遊びなんでしょう

ぼくらは国家も資本家も軽蔑している
でもそれ以上 何をするわけでも無く
毎日を遊び暮らす 戦い方も知らず
凡庸な悩みを持て余し 不幸を気取りながら

だから

今日からぼくは
音楽と文学と芸術以外のものに
お金を払わないことに決めた
飢えて死ぬまで 誰のためにも


『海を産む』

ねえねえねえとあの子がいう。
なになになにとぼくがいう。
あれがこないの(満面の笑み)とあの子がいう。
資本主義の最高段階に達したわけだ(帝国主義の始まり)とぼくがいう。
もう三ヶ月も干上がってんの(神は渇く)とあの子がいう。
サロン・ドトンヌの第7室は強い原色と奔放な筆致の作品で埋めつくされた(野獣派)とぼくがいう。
ほらみて、おなかがこんなに大きくなっちゃってんの(幸福な肥満)とあの子がいう。
工場生産の効率化は非人間的なシステム原理の無自覚な導入だ(ラッダイト運動)とぼくがいう。
でも、なんだか変なのよ(疑惑こそ自我の芽生えの契機)とあの子がいう。
将来に対する漠然とした曖昧な不安(芥川龍之介)とぼくがいう。
ちょっと耳を当てて聞いてみてとあの子がいう。
ちょっと耳を当てて聞いてみるとぼくがいう。

(さざ波の音)

君はいったい何を産む気なのさ?
あんたはいったい何を仕込んだわけ?

「うげっ! やっばい! 来た来た来た来た!」とあの子。
「え? え? なに? どうしたの?」とぼく。

あの子はトイレに駆け込んで、こっそり練習したラマーズ法。
ひー! ひー! ふー!
「こりゃあ、元気な“赤んぼ”だ! やっぱ胎教にアタリ・ティーンエイジ・ライオットはやり過ぎだったのかなあ?」
ひー! ひー! ふー!
まるで下痢するような、おトイレ出産。
ひー! ひー! ふー!  ………ぼちゃん!

……ふたり覗き込むトイレ。
“赤んぼ”はいないが、トイレの小さな水たまりの中で、サーファーが波に乗り、女の子達が肌を焼いている。
「海ぃ―――――?」あの子とぼくが同時にいう。
もうすぐ夏休み、ぼくらは海に行くことにした。


『とらんぺっと』

舌にバネを仕込んだので
言葉が跳ね回り
遠くの方へいってしまった
面白いので
喋りまくっていたら
いつの間にやら
ぼくの周りに
ぼくの言葉は見当たらない
仕方がないので
探しにいったら
世界の真中あたりで
息苦しくなった


『世界の死亡診断書』

第一章 神様が破産宣告した日

多分
宇宙飛行士はみんな
この世の全てに嫌気がさして逃げ出した
最も勇敢な臆病者です

ところで昨日、神様から電報が届いた。

[チキュウキトク スグカエレ]

帰れって? どこへ・・・?
神様「知らんよ、わしゃ形而上じゃけん」

第二章 速度の記述

4986547342786521575332256234
5破裂・凝縮する恐怖(または音楽依存)2586709643
2029478437439202384神秘との相関/678
434開花・・・・89654012568932812335
6897544343947897777・・・・・・・沈黙0・
88888993379032256999043265748
5757(掠れてゆく声が「掠れてゆく「掠れ「「897553

第三章 あなたは何故考えずに生きられるのか(コーラス付)

思想の森は枯れた
(愚鈍の飼育場)
『自由』は『権利』として『合法的』に認められているらしい
(痴呆の時代)
去勢された意志または陳腐という名のゲーム
(脳が悲鳴をあげるまで考えなさい)
エガス・モニスはノーベル賞を受賞した!
(ロボットのトミーは絶賛発売中!)
あなたは誰のために肥る?
(僕の髪の毛はアウシュビッツで展示されるのだろうか?)

知識が制度化された権力ならば
こんな時代
革命は
たやすい子供の
玩具なのだ!

第四章 砂の歌

言葉が孵化するまで 喉の奥に干からびて こびりついている
一編の詩は 誰に記憶されることもなく ただ 自らの意味と
リズムを ゆっくりと 反芻しながら 世界に零れるのを 
待っている

発せられた言葉が、音速で通りを駆け抜ける
それでは間に合わない、あなたに届く前に風化してしまう
震える鈴の乾燥した音色
語ることなどひとつしかないけれど
(世界は退屈である)
声にしなければならない
ひとつの声が、確かに世界に挑戦したことを
あなたは知らなければならない
やがて砂のように崩れ
消えてしまう、その声を
あなたに歌
                っ 
              て
              ほ


                                       い
          か
                       ら
        。

第五章 存在の彼方へ

囲い込まれた空虚として存在する。存在、この単純な事実に私は恐怖する。では、無は? 言葉は「在り得ること」しか語れない。無いことを言葉で認識することは出来ないのだ。だが、私は存在する。いや、私が存在するのではない。存在が在り得るというだけの話だ。では私、この現象界の一つの場としての私は何を歌えるか? 私はランボーを引いてみた。「彼は未知のものに到達し、そして、その時、狂乱して、己のさまざまな視線について
の知的認識力を失ってしまった時に、はじめて彼はそれらのヴィジョンを真に見たのです!」私は捨てよう、私が私であることを。そしてアドルノは言った。「アウシュビッツ以降、詩を書くことは野蛮である」その通りだ。もはや、私は歌えない。歌うことは拭い難い罪なのだ。存在が詩を書かせる、私が書くのではなく、私が書かされること。その時こそ、詩は事実となる。その時、詩は万人の私有から解放される。そして、それから、ゆっくりと詩は必要性を無くし砂漠の風に消えてゆくのだ。語れ得ぬものを見てしまった時、詩人は、豊穣な沈黙の内に自らの存在を投機するだろう。それは、とても幸福なことだと、あなたは思わないか?

第六章 抽象作用によるコノテーション

繁茂する激情)プレパラート上の震え)俺の信号はいつも黄色)
労働に蝕まれた魂)プラトン反回転)降り注ぐゴスペル)言語掻爬
嵐のように舞う天使達)哀しみの永久機関)さらわれる声)










そして俺は過剰防衛する。需要と供給の絶えざる円環が産み出す透明な暴力。断絶、私は断絶する。そして咆哮! ・・・リラックス、リラックス、世界なんてちょろまかせ一回休みだよ。

第七章 あの娘の肛門に花が咲くまで(モラトリアム)

猫眠る部屋
夢は滲んで空気を汚す
湿った彼の鼻先は
しめやかに濡れる砂漠を連想させる

宇宙は神の独語で満ちている
寂しい 寂しい
はやく私の所までやって来て

猫はまだ眠っている
ある昼下がり
ぼくの微睡みも猫色

いま 一つの世界が閉じられた
誰かが呟く
「世界の死亡診断書を書かなくちゃ」

惑星探査船
酸性雨に洗われて
太陽の腕に抱かれる

真空に張り裂けて
透き通っていく
(感情)(自ー我)

電話線は切られ
SOSは伝わらない


『3片のイマージュ』

眼球に唇を 世界が汚れて見える   瞳が血で濡れて
綺麗に舐めたら  すべてが美しく       呼吸に震えるはず
温め合う速度を おぼつかないピアノ  聴こえるのは真空
凶器はこのヒヤシンスの花です 皆おとなしく       ひしゃげる
永遠に向かって へし折れる首 言葉数が足りない
焼き捨てられた     私語  無言電話
(溜息)
突き刺さった   闇    それでもナイフ滴る
進み続け    包み込まれ     やがて閉じられる回路
空間は  凝縮する恐怖      窓から
囮                 籠  睡眠
髪の毛の匂い  残された女の    女達の(……)
笑顔が似合うから       小さすぎる掌    ひとりぼっち
(囁き)
感情      追尾する      郵便配達人(思惟する)
「まだ?」     荒い粒子に紛れ込む      孤独
粘着音  こびりついて          赤黒く浸して
死         虚ろな湖     火を放つ
病んでいるのは言葉        綺麗なまま     心は
(吐息)                   (吐息)
手錠かけられ  「よかった?」        (射精)
それでも 走り続ける        まだ終われない(絞め続け…)
空白を産む    やがて途切れる    悲鳴のために………
(       )


『くたばりません勝つまでは』

人間の良心は宇宙を漂うクラゲなんだよ
彷徨うことに飽きるまで
わたしのところに帰らない
雨と音楽を降らしながら
かれらは太陽系を周遊する
冥王星の天気予報は今日も晴れ
地球の楽譜からは
オタマジャクシがみんな逃げ出してしまった

自己嫌悪倶楽部へようこそ
傷つくことより
傷つけることを恐れる人々よ
生きることに怯えながら
静かに息をしている人々よ
わたしの夢は誰かに繋がったか?
わたしの言葉は今も聞き取りにくいか?
幸福に慣れていないあなたは
どこかに不幸を探して
ようやく安心する
電柱にポスターが貼られていた
「自分が嫌いな人集まれ!」だってさ

ある日突然
警察に捕まった
「あなたの言葉はひどく危険な凶器なんです」
わたしはすぐさま喉を潰して
安全な人間になることを約束した
あなたが言葉数少ないのは
わたしを傷つけないようにするためなのですか?
答えが欲しかったわけじゃない
それなのにあなたは
まるで世界の神秘を説き明かすかのように
「愛こそすべて」なんて言う


『反革命のための62行、あるいは怠惰な日常』

1
夢見るような日々
明日を追い越して時間の彼岸へ
雨の降る午後
風の吹く夜
息を止めるくらい 青い静寂
鳥のように飛んで
犬のように吠えて
歩く事しか考えられない
過ちの向こうに正義と真実
鼻先にぶら下がる自由
誰のものでもない救済
声が届かない
世界よ滅びなさい

2
もっと、もっと、気楽に生きて行けるはずなんだ。
誰もが優しげな革命の中、自分の居場所が見つかるように。
そんな風に頑張る必要なんてないはずなのに、
息も出来ないほど走りつづけて、それからどうするの?
幸福の罠にはまった、貴方を救い出す術はもう失われた。
貴方は、意味という病にとりつかれ、自分の価値を探しつづける。
でも、その強迫観念を捨てたとき見える何かを、ぼくはそれを知りたい。

3
気だるさの中 やせ細っていく
飽食の時代 無意味な生産 大量消費
愛も自由も平等も民主主義もフェミニズムも環境問題も商品化された正義にすぎない
自分の言葉に追い詰められて 息を継ぐ間に何かが失われていく
かつて何かを求めて戦った人々がいた
でも もう疲れたよ

4
自分を感じたくて 自分を傷つける
ぼくは いま ここに いる
心臓が動いている間は生きていなければ
目覚めれば朝は頼まれもせずにやって来る
他者のないそこでは 僕には何の意味もない
吐き捨てた言葉すべて
書きなぐった文字のすべて
もう一度この手に戻ってきてくれるなら
そうだ 解答なんて無いんだ
世界は問いかけさえしない
自由という名の不自由 僕は僕は僕

5
舌先でころがす甘美な絶望
わたしのとっておきのサヨナラをあなたに
歌いましょう この世の悲しさを
寒くなったら電話をかけてください
わたしはあなたのために暖かい言葉を用意しておきます

6
「つぎはぎだらけの人生、こいつは少し辛すぎる。だから一言、言わせてもらってとんずらだ。ほら、君を悩ます苦悩はからだにこびりついている。いまさらどうしようっていうんだい。あくびもできないのっぴきならない状況。そろそろ幕が上がる、台本は無いんだ、みんなアドリブで役をこなすのさ。」

7
喜び それは地平に投げられた火
壁を登って辿り着く楽園
花の褥に横たわって終わらない歌を聴いていよう
別れの言葉はもう忘れてしまった
手をつないだら離す必要なんてないよね
水たまりを覗くと世界で一番素敵な二人が笑ってるんだ

8
明日に未来を託すような物言いで
本当に僕らは救われるのか?
希望はいつだって控え目にやって来て
僕らはそれに気付けない
普通の日々が永遠に続けばいいのに
危なっかしい変化なんて要らないよ
愛は恋人たちに
平和は家庭に
そして希望は世界中の子供たちに
頑張れ


『コラージュ(#2)』

個人的な話をしよう。
華麗なる読書暦。
咳き込む亜人。
伝統的な前衛。
綱引き運動会。
社会主義? 会社主義?
電話がなる。
A「もしもし、神様のお宅ですか?」
B「そうです。何か用ですか?」
A「くたばれ!!」
B「やなこった!!」
ガチャン !!
インドマハラジャカースト制度。
新しい星座を作る 肩凝り座。
アングラ劇団。
色付きゲップ。
踊り子C踊る。
壁の落書き うんこ。
ラッシュアワーでモッシュダンス。
HHAAAAATEEEEEEE & REVEEENNGEEE。
レーゾン・デートル。
アリバイがない!!
共通言語(音楽)と失語症(文学)。
頭文字K。
明るい世紀末 日本の夜明け。
エマージェンシー 逃げろ!!


『高さについて』

水たまり
濡れたアスファルト
ごみ箱からあふれた空き缶
巣穴に帰る蟻
ひび割れた歩道
踏みつぶされた木の葉
百円玉見つけた
いつのまにか雨は止んでいる
行き交う人々


雲が晴れて顔を覗かす
太陽




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